深部静脈血栓症(DVT)

投稿日:2017年6月1日 更新日:

深部静脈血栓症(DVT)は、静脈の狭窄・閉塞によって起こる静脈血栓塞栓症(VTE)の症状である。大部分のDVTは潜在性であり、合併症なしに自発的に解決するが、DVT関連の肺塞栓症(PE)による死亡は、米国では毎年最大30万人の死亡を引き起こしており、虚血性心疾患、脳血管障害と並んで三大疾患とされている。一方、日本においてはまだまだ一般認知度の低い病気である。

徴候と症状

深部静脈血栓症(DVT)の症状には、以下がある:

  • 浮腫:鬱血による色調変化を伴い最も特有の症状
  • 足の痛み:患者の50%で起こるが、非特異的である
  • 圧痛:患者の75%で発生する
  • 血栓領域にわたる皮膚の熱感や発赤
  • 肺塞栓症(PE)の臨床症状:呼吸困難、頻呼吸、胸痛、頻脈

DVTの診断を確立するには、単一の肉体的所見や症状と徴候の組み合わせを確認する:

  • Homans徴候
  • 下肢の変色
  • 浮腫のために脚の感覚が鈍麻(比較的まれ)

DVTの潜在的な合併症には以下のようのものがある:

  • サイレントPE(DVTが診断された場合の患者の40%m)
  • 逆説的塞栓症(まれ)
  • 再発性DVT
  • 静脈血栓後症候群(PTS)

診断

  • 血液検査:フィブリン分解産物であるDダイマー、FDPの上昇ないし凝固系亢進で上昇するTAT(トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体)を確認。
  • 下肢DVTからPEに移行する可能性が中〜高確率で考えられる患者に対しては、静脈の圧迫所見とカラードプラ超音波で血栓の存在を確認。
  • 肺血栓塞栓症が強く疑われる場合は、肺換気/血流スキャン、胸部造影CT、肺動脈造影など画像診断研究が必要とされる。

治療

DVTの治療選択肢には次のものがある:

  • 抗凝固療法 - ヘパリン、ワルファリン、第Xa因子阻害剤
  • 血栓溶解療法
  • 血管内および外科的介入
  • 保存的処置(例えば、弾性圧縮ストッキング、歩行など)

ヘパリンには種類があり、DVTの治療には以下の2つが使用される。

  • 未分画ヘパリン(UFH)
  • 低分子量ヘパリン(LMWH:例えば、エノキサパリン)

未分画ヘパリンはアンチトロンビンⅢと結合し、その構造を変化させることで凝固因子を急速で不活化させる。ヘパリンは、アンチトロンビンⅢと凝固因子との相互作用の触媒のようなものである。

対照的に、低分子量へパリン(LMWH)は、アンチトロンビンⅢと複合体を形成し、プロトロンビンの分子構造を切断し、トロンビンに変化させる活性型Ⅹ因子(Xa因子)を選択的に阻害する。トロンビンに結合しないため、ヘパリンより静止状態の血小板の活性化を起こしにくく、出血傾向を抑えられる。
また、LMWHは出血の危険が少なく効果の発現も安定しており、また皮下投与の際の半減期が長いため、治療薬物モニタリング(TDM)を必要としない。結果として看護の費用と時間に加えて検査コストを節約できるため、最近は未分画ヘパリンに置き換わりつつある。

DVTの治療に使用される第Xa因子阻害剤は、フォンダパリナックス、リバーロキサンなどがある。
フォンダパリナックスは第Xa因子だけを選択的に阻害する初めての第Xa因子阻害剤である。有効性と安全性に関してはエノキサパリンに匹敵すると考えられる。
またリバーロキサバンは、ワルファリンと同等のビタミンKアンタゴニストで、脳梗塞などの血栓塞栓症の予防にも有用な薬である。ただ、血中モニタリングをルーチンに行う必要がなく、使用法が簡便である点からワルファリンよりその期待は大きい。

血管拡張療法は、再発性VTEのリスクを減少させ、PTSを予防するために行われる。DVTの経皮カテーテル治療は以下である:

  • 機械的血栓除去術:Forgartyカテーテル
  • 血管形成術
  • 静脈閉塞のステント留置

-循環器科

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