深部静脈血栓症(DVT)の症状、診断、治療

深部静脈血栓症(DVT)は、下肢の深部静脈系に血栓を生じ、静脈閉塞を起こしたものを言います。大部分のDVTは潜在性で、合併症なしに自発的に解決しますが、DVT関連の肺塞栓症(PE)による死亡は、米国では毎年最大30万人の死亡を引き起こしており、虚血性心疾患、脳血管障害と並んで三大疾患とされています。一方、日本においてはまだまだ一般認知度の低い病気でもあります

深部静脈血栓症(DVT)の症状

深部静脈血栓症(DVT)の症状には、以下が挙げられます:

  • 浮腫:うっ血による色調変化を伴う
  • 足の痛み:患者の50%で起こるが、非特異的
  • 圧痛
  • 皮膚の熱感や発赤
  • 呼吸困難、頻呼吸、胸痛、頻脈(肺血栓塞栓症)

深部静脈血栓症(DVT)の診断

DVTは身体徴候と合わせて、以下の検査を通して診断が確定されます。

  • 血液検査:フィブリン分解産物であるDダイマー、FDPの上昇ないし凝固系亢進で上昇するTAT(トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体)を確認。
  • エコー:肺血栓塞栓症(PTE)に移行する可能性が中〜高確率で考えられる患者に対しては、静脈の圧迫所見とカラードプラ超音波で血栓の存在を確認
  • 肺換気/血流スキャン、胸部造影CT、肺動脈造影:肺血栓塞栓症が強く疑われる場合は速やかに行われる必要がある

深部静脈血栓症(DVT)の治療

DVTの治療選択肢には次のものが挙げられます。

  • 抗凝固療法:ヘパリン、ワルファリン、第Xa因子阻害剤
  • 血栓溶解療法
  • Fogartyカテーテルによる血栓除去
  • 保存的処置(例えば、弾性圧縮ストッキング、歩行など)

ヘパリンには種類があり、DVTの治療には以下の2つが使用されます。

  • 未分画ヘパリン(UFH)
  • 低分子量ヘパリン(LMWH:例えば、エノキサパリン)

未分画ヘパリンはアンチトロンビンⅢと結合し、その構造を変化させることで凝固因子を急速で不活化させます。

一方、低分子量へパリン(LMWH)は、アンチトロンビンⅢと複合体を形成し、プロトロンビンの分子構造を切断し、トロンビンに変化させる活性型Ⅹ因子(Xa因子)を選択的に阻害します。トロンビンに結合しないため、ヘパリンより静止状態の血小板の活性化を起こしにくく、出血傾向を抑えることができます。

また、LMWHは出血の危険が少なく効果の発現も安定しており、また皮下投与の際の半減期が長いため、治療薬物モニタリング(TDM)を必要とせず、結果として検査コストや時間を節約できるメリットがありmさう。

DVTの治療に使用される第Xa因子阻害剤は、フォンダパリナックス、リバーロキサンなどがあります。

フォンダパリナックスは第Xa因子だけを選択的に阻害する初めて誕生した第Xa因子阻害剤である。有効性と安全性に関してはエノキサパリンに匹敵すると考えられています。リバーロキサバンは、ワルファリンと同等のビタミンK競合薬で、脳梗塞などの血栓塞栓症の予防にも有用な薬です。

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