呼吸困難の病態、原因、治療

投稿日:2017年6月12日 更新日:

呼吸困難とは、呼気・吸気での苦しさや不快感、空気不足感などの自覚症状を伴う主観的な状態である。
低酸素血症(PaO2≦60Torr)を伴う呼吸不全という客観的な病態とは異なるので要注意である。

呼吸困難は85%の症例では、喘息、肺炎、心虚血、間質性肺疾患、うっ血性心不全、慢性閉塞性肺疾患、心理的原因(パニック障害など)によって発生する。

呼吸困難の発生機序は完全には解明していないが、求心性伝達、遠心性伝達、中枢での情報処理の3つの主要成分が関与しているとの見方が有力である。脳における中枢処理は、感覚受容器の求心性情報と遠心性情報を比較しており、そこで求心性情報が機械的呼吸によって満たされなかったり、遠心性情報との不一致が生じてたりする場合に呼吸困難が生じる(これを中枢-末梢ミスマッチ説という)。

たとえば、肺が硬くてなかなか膨らまないときや、呼吸筋の長さと張力の均衡が崩れたときである。

呼吸困難において有意な求心性の情報は、頸動脈体、髄質、肺、胸壁などのさまざまな供給源から生じている。たとえば頸動脈体や髄質における化学受容器は、O2、CO2およびH+の血液ガス濃度に関する情報を中枢に送っている。

そのほか、気道や肺に存在する迷走神経受容器、胸壁に存在する胸壁受容器、上気道に存在する上気道受容器などが呼吸困難を発生させるレセプターとして関与していると言われている。

呼吸困難の原因

呼吸困難の原因は、主に以下の3つが挙げられる。

  1. 換気量の急激な変動
  2. 酸素消費や運搬能異常
  3. 器質的換気障害

(1)は分時換気量(正常値6〜8L/分)が増加したり減少した場合(呼吸数または一回換気量の変動)である。(2)は貧血や心不全などで酸素運搬能力が低下したり、拡散障害によって低酸素血症が起きた場合などである。(3)はたとえば上気道閉塞や胸水貯留、悪性腫瘍などの器質的な原因による場合などが挙げられる。

呼吸困難の原因まとめ表

肺・気道系要因 上気道閉塞(異物、クループ症候群、喉頭浮腫など)、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、肺炎など
胸郭・胸膜要因 自然気胸、緊張性気胸、胸水貯留、胸膜炎など
呼吸筋・神経要因 筋ジストロフィー、ポリオ、重症筋無力症、ALSなど
循環系要因 左心不全、シャント性心疾患(Fallo四徴症、Eisenmenger症候群など)、心タンポナーデなど
代謝性要因 アシドーシス(糖尿病性アシドーシス、尿毒症性アシドーシスなど)
ストレス的要因 過換気症候群(過呼吸)、ヒステリー、パニック障害

呼吸困難の治療

呼吸困難という病態を解決するには、必ずそのアラームを生じさせている基礎疾患を鑑別しそれの治療に望まなければならない。あるいは、治療が困難な場合は呼吸困難の程度を緩和するために呼吸リハビリテーションや麻酔薬などを施す。

原因治療

たとえば、感染症による肺炎であれば抗生剤の投与、胸水貯留に対する胸水ドレナージ、異物による上気道閉塞であれば異物除去である。

理学療法

慢性閉塞性肺疾患であれば「口すぼめ呼吸」のやり方を教えることが呼吸リハビリテーションの重要項目となっている。心不全患者は起座位に変えると横隔膜が下がり肺静脈圧が低下するため呼吸しやすくなる(起座呼吸)。また、患者の不安やストレスも呼吸困難を増悪させる要因となるためメンタル面のサポートも医療従事者の役割である。

呼吸困難の緩和

低酸素血症による呼吸困難であれば酸素投与で症状を緩和できる。また全身性の即時放出性オピオイドは、癌などで激しい疼痛と呼吸困難を伴うような症状を緊急的に軽減するのに使用される。また、長時間作用性/徐放性オピオイドは呼吸困難の治療を継続/予防するために使用される。

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