利尿薬の作用機序と効果、副作用

投稿日:2017年6月10日 更新日:

利尿薬とは強制的に尿量を増加させる薬であり、心不全、肝硬変、高血圧症、水中毒、腎疾患などで、循環血漿量を減少させ血圧を下げたい場合などに用いられる。
利尿薬にはさまざまな作用機序があり副作用が異なるため、それらを十分に理解しておく必要がある。

炭酸脱水酵素阻害薬

炭酸脱水酵素阻害剤は、近位尿細管で分泌される炭酸脱水素酵素を阻害することで利尿作用を示す薬である。

炭酸脱水素酵素はもともとH2CO3(炭酸)をHとHCO3に遊離させ、Hを尿細管中のNa+と交換させることで水を保持する作用がある。
したがって、炭酸脱水酵素を阻害することで、H2CO3(炭酸)からHができなくなると、Na+の再吸収もできなくなり、尿中の水の排泄を促進させることができる。

炭酸脱水酵素阻害剤の代表薬としてはアセタゾラミドがあり、上述したようなHCO3-の尿中への排泄(pH↑)とNa+の再吸収抑制効果により利尿作用を示している。

また、アセタゾラミドは緑内障や急性高山病にも用いられている。

炭酸脱水酵素阻害薬の副作用には以下が挙げられる。

  • 低K血症:Na+↓により、代償的に集合管でのNa/K交換系が亢進
  • 代謝性アシドーシス(軽度):H2CO3の分解が抑制されるため
  • 低Ca血症:Ca再吸収を抑制し尿中Caを増加させるため尿路結石を生成

ループ利尿薬

ループ利尿薬はヘンレ係蹄(ループ)の上行脚に作用して、Na/K/Cl共役輸送系を阻害する薬である。ヘンレ係蹄(ループ)におけるNa+の再吸収を阻害することで尿中の水の排泄促進を起こしている。

ヘンレ係蹄の上行脚ではもともと25〜30%のNaClを再吸収しており、この不足分を下位の尿細管では補うことができない。ヘンレ係蹄は腎機能障害の患者でも最後まで機能が保たれる部分であるので、腎機能障害時にも使用できる。

ループ利尿薬の副作用には以下が挙げられる。

  • 低K血症:Na+と同時にK+の再吸収も抑制
  • 耐糖能低下:膵β細胞のATP依存性Kチャンネルが不活化され、インスリンの分泌が抑制されるため(薬剤性糖尿病)
  • 代謝性アルカローシス:K+の喪失により、H+も減少する。すると代償性にHCO3-が増加し、低K性アルカローシスを起こす
  • 高尿酸血症:腎臓や胆汁分泌系で尿酸と競合し、尿酸の分泌を抑制
  • 低Ca血症:Ca再吸収を抑制し尿中Caを増加させるため尿路結石を生成

主なループ利尿薬にはフロセミド、ブメタニド、トルセミド、エタクリン酸がある。

サイアザイド系利尿薬

サイアザイド系のヒドロクロロチアジド、クロルタリドンは、遠位尿細管でのNa+/Cl-共輸送系を阻害し、尿中の水の再吸収を抑制し利尿作用を発揮する。

当薬は腎機能が低下している状態では、濾過による原尿の量が少ないため、遠位尿細管に作用する十分な効果が得られない。これは集合管に作用するスピロノラクトンでも同じことが言える。

したがって、サイアザイド系の適応となる腎機能の指標は、eGFR 30(mL/分/1.73㎡)以上とされている。

サイアザイド系利尿薬の副作用には以下が挙げられる。

  • 低K血症:Na+と同時にK+の再吸収も抑制
  • 耐糖能低下:膵β細胞のATP依存性Kチャンネルが不活化され、インスリンの分泌が抑制されるため(薬剤性糖尿病)
  • 代謝性アルカローシス:K+の喪失により、H+も減少する。すると代償性にHCO3-が増加し、低K性アルカローシスを起こす
  • 高尿酸血症:腎臓や胆汁分泌系で尿酸と競合し、尿酸の分泌を抑制
  • 高Ca血症:遠位尿細管を阻害することで、代償的に近位尿細管でのCa再吸収を促進
  • 光線過敏症:骨髄抑制、皮膚炎(失神)、間質性腎炎などをまれに発症

サイアザイド系は代償的に近位尿細管での水・Naを増加させる目的で、腎性尿崩症の治療として用いられる場合もある。

抗アルドステロン薬

抗アルドステロン薬のスピロノラクトン、トリアムテレン、アミロライドは、集合管でのNa再吸収、K排泄(Na/K交換輸送)を阻害することで利尿効果を発揮する。

サイアザイド系やループ利尿系と異なり、血中のKを保持することからK保持性利尿薬とも呼ばれている。ただし、血中K濃度をしっかりモニターしておかなければ高K血症が起こすこともあるので要注意である。

サイアザイド系利尿薬と同じく、濾過による原尿の量が少ないと効果が出ないので腎機能の低下時に用いても無意味である。

抗アルドステロン薬の副作用には以下が挙げられる。

  • 高K血症:抗アルドステロン薬は集合管でのKの排泄を抑制
  • 代謝性アシドーシス:K+とH+の増減は同じなので、K+が増えればH+も増える
  • 女性化乳房・月経不順:スピロノラクトンは分子構造が、エストロゲンなどの女性ホルモンに類似

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