アニオンギャップ(AG)

投稿日:2017年6月14日 更新日:

人体は電気的に中性に保たれており、体液中の陽イオンと陰イオンの総和は常に等しく、バランスが保たれている。

以下の式は、血中の主な陽イオンと陰イオンの総和で成り立つ等式である。

Na++K+ = Cl-+HCO3-+有機酸

このとき、K+はNa+に比べ血中に非常に少ないため、無視して考えると有機酸の濃度は以下のように表される。

有機酸 = Na+ - (Cl-+HCO3-

この右辺がアニオンギャップ(AG)と呼ばれており、アニオンギャップとは血中の有機酸の濃度を表していることが分かる。

アニオンギャップの正常値は12±2mEq/lである。有機酸とは血液中のCl-+HCO3-以外の物質、リン酸や硫酸、乳酸、ケト酸などを示す。

アニオンギャップ(AG)

アニオンギャップが大きくなる場合

アニオンギャップが上昇する病態の典型としては、腎不全で酸を中和するためのHCO3-の尿細管での再吸収が低下した場合に起きる代謝性アシドーシスである。また、糖尿病1型や飢餓でケトン体の代謝産物であるケト酸が増加した場合のケトアシドーシスや、激しい運動やアルコール摂取による乳酸アシドーシスが考えられる。

アニオンギャップが正常である場合

正常なアニオンギャップを有し、アシドーシスのある患者では、HCO3-の低下が主要な病態と考えられる。失ったHCO3-の代わりにCl-が増加するため、高クロール性のアシドーシスを呈す。

HCO3-の低下は、下痢などによる胃腸からの損失や尿細管性アシドーシス(RTA)による腎からのH+排泄不全で生じうる。また、呼吸性アシドーシスでもCO2が増えるだけで有機酸は上昇せず、アニオンギャップは開大しない。

アニオンギャップ(AG)が正常な代謝性アシドーシスは以下が挙げられる。

  • 重症下痢:HCO3-を大量損失
  • 尿細管性アシドーシス:尿細管におけるH+の排泄障害、HCO3-の再吸収障害により起きる
  • Fanconi(ファンコーニ)症候群:近位尿細管でのHCO3-の再吸収障害
  • 原発性副甲状腺機能亢進症:近位尿細管でのHCO3-の再吸収障害(軽度)

下痢と尿細管性アシドーシスは尿細管に漏れたHCO3-に引っ張られ、同時にK+も喪失する。したがって、低カリウム性のアシドーシスを呈す。

アニオンギャップが小さくなる要因

低アニオンギャップは、低アルブミン血症によって引き起こされることが多い。アルブミンは負に荷電したタンパク質であり、これが血清から損失すれば、Cl-とHCO3-が代わりに血中に保持されるようになり上昇する。そのためアニオンギャップが低下する。

また、血清IgGが増加する多発性骨髄腫でも、アニオンギャップが減少することがある。

-病態生理

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