保温と加温の違いは?また体表加温と中枢加温とは?

寒冷によって体温が、35℃未満となり、低体温症に陥ると軽度では震えおよび嗜眠(しみん)から、重度になると昏睡、最悪死に至ります。
そのため、軽度の場合では毛布や寝袋で覆い、濡れた衣服を乾燥着衣に着替えさせる受動的復温を施し、重度の場合は、身体の中枢に直接暖気を吸入させるなど、適切な能動的復温が必要となります。
(※嗜眠(しみん)・・・外界の刺激に応じられなくなり眠ったような状態になること。)

保温(passive external rewarming)

31~35℃の軽度低体温でシバリング(震え)など身体の生理的な体温調節機能が見られる場合は、温めた毛布と温かい飲料による保温が適当であるとされています。

保温の方法
(1)室温21℃以上の暖かい環境に移す
(2)濡れた着衣を脱がし温かい乾燥衣服に着替えさせる
(3)暖めた毛布・寝袋で覆う

加温(active rewarming;AR)

重度低体温における能動的復温には、保温パットや温水浴、赤外線ヒーターによる体表加温と体腔灌流や暖気の吸入による中枢(深部)加温があります。

体表加温(active external rewarming;AER)

体幹に限定された非侵襲的な加温法です。ただし急激な末梢血管拡張による復温ショックの可能性があるため注意が必要です。

(1)電気毛布・保温マット: 低温やけどを起こす可能性に注意。ベアーハガーを用いる
(2)温水浴(40-45℃): 外傷が激しい場合は難しい。ハバードタンクを用いる
(3)赤外線ヒーター: 新生児・未熟児に適応できる

図1 Bair Hugger(ベアーハガー)を用いた体表加温
Bair Hugger(ベアーハガー)を用いた体表加温

図2 Hubbard tank(ハバードタンク)
Hubbard tank(ハバードタンク)
425 GALLON HUBBARD TANK

中枢加温(active core rewarming;ACR)

体温が32.2℃以下、または循環動態が不安定(心停止、低血圧)、内分泌機能不全、外傷・毒素疾患に続発する低体温がみられる患者の場合に必ず必要となります。1時間当たり1~3℃の加温を目指します。

(1)暖気吸入(42-46℃):気道熱傷に注意
(2)加温輸液(40-45℃):体温低下を最小限する。なお、蘇生後に脳低体温療法を行う患者には、4℃に冷却した輸液を使用する
(3)温液体(40-45℃):①胃洗浄、結腸洗浄②膀胱洗浄③胸腔内潅流④縦隔洗浄
(4)体外循環(40-45℃)
①血液浄化装置:外傷や毒素に続発する二次性低体温に対して薬物除去が可能
②人工心肺:心肺停止、ショック例に適応
③A-Vシャント:前腕の動静脈をバイパスさせ、動脈血が静脈へ直接流入するようにすることで、静脈血管が次第に怒張し200ml/min程度の体外循環血流量を確保できる

加温時には、急激な体温上昇による末梢血管の拡張によって以下のショックを起こすことがあるので注意が必要です。

Rewarming shock:加温による末梢血管の拡張で循環血液量が減少し血圧低下、また冷却・高K血症による心抑制を起こす。そのため四肢への加温は避けなければならない
After drop: 末梢血管拡張により、中枢循環系に冷却血液が流入することで加温開始後に核温が低下することで起こすショックを起こす

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