前負荷と後負荷の違いは?

まず、心拍出量とは何か?

前負荷と後負荷について学ぶ前に、心拍出量について確認しておきたい。心拍出量はmL/分という単位で、1分間で心臓によって全身に向かい送り出される血液量を表す。これは、一回拍出量と心拍数の積でもある。

心拍出量(mL/分) = 心拍数(回/分) × 1回拍出量(ml/回)

心拍数は、心臓が1分間で打つ鼓動の回数であり、一回拍出量とは、各ビートでどのくらいの血液量が心臓から送り出されるかを示す。上記の式より、一回拍出量および心拍数のどちからかが増加しても心拍出量が増加するということが分かる。

安静時心拍数は、ヒトの場合、男性で60~70bpm程度、女性で65~75bpm程度である。また安静時の1回拍出量は1ビートあたり70mlであるので、上記の式より、平均的な心拍出量は毎分5000mL程度ということになり、人の総血液量とほぼ同量を毎分心臓は全身に送り出している。

※ 総血液量は体重の13分の1。約8%が血液である。60kgの体重の人なら、およそ4500ml

心拍出量の2つの決定要因

前負荷と後負荷とは、心拍数や心筋収縮力などとともに心拍出量を規定する因子の一つとなっている。一般に、前負荷が増え、後負荷が減ると心臓の一回心拍出量は増大する。

前負荷(Preload)

前負荷
心臓が収縮する直前に、よりたくさんの血液が心臓に流入していれば、心筋のサルコメアはより強く収縮することができ、心拍出量が増加する。

前負荷は、この収縮直前にサルコメアにかかる負荷のことを指し、前負荷が大きいほど心拍出量も大きい。この法則をFrank-Starlingの法則と呼ぶ。

ただし、慢性的に大きな前負荷がかかると逆に心室は伸ばされすぎて心拡大を起こし、心収縮力が低下していく。その結果やがて起きるのが、心不全である。
Flank-Starling曲線

後負荷(Afterload)

後負荷
後負荷は、血液を送り出すときの左心室壁によって生成される張力を指す。簡単に言うと、末梢血管抵抗でもあり、末梢血管抵抗が小さくなると、一回心拍出量が増える。

左室が血液を送り出すために乗り越えるべき1つ目の関門が大動脈圧である。大動脈圧が大きいほど、左心系は血液を送り出しにくくなることは想像しやすいだろう。

ラプラスの法則に従うと、心臓壁の筋繊維にかかる張力は、心室内圧と容積に比例し、心室壁の厚さに反比例しており、正常な心臓と拡張した左心室をもつ心臓を比較すると、同じ大動脈圧の場合は拡張した心臓はより大きい内圧および容積を有するため、同じ大動脈圧を克服するためにより大きな張力を生み出している。

そのため、壁張力を便宜的に心筋の厚みで平均化するため、心室壁の厚さをより大きくしていく必要がある。この結果起きるのが、心室壁の肥大化である。

この肥大化が慢性的に続くと、心臓の拡張性は徐々に下がっていく。やがて十分に拡張できなくなると、心拍出量を維持出来ず心不全を起こす。

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