肺コンプライアンス

肺コンプライアンスは、肺の拡張能力(弾性組織の膨張性)の尺度である。臨床診療では、静的コンプライアンスと動的コンプライアンスの2つの測定値に分かれている。臨床で重要なのは静的肺コンプライアンスであり、これは与えられた圧力に対しての容積変化を示している。

コンプライアンスが低いというのは、肺が硬いこと(高い弾性反動を伴う肺)を示し、肺線維症で見られる。コンプライアンスが高いことは柔軟性のある肺(低い弾性反動を伴うもの)を示し、食料品袋のようなものであると考えられる。これは肺気腫、加齢によりよく見られる。

コンプライアンスを低下:肺線維症、間質性肺炎、肺水腫
コンプライアンスを上昇:肺気腫、加齢

Ⅱ型上皮細胞が産生する肺サーファクタントは、肺胞内面を覆う液体の被膜の表面張力を低下させることによってコンプライアンスを高める役割がある。このサーファクタントがなければ、肺胞は液体の内向きの力に圧迫され崩壊し、コンプライアンスが大幅に低下する。

コンプライアンスが低いということは、肺が硬いことを示し、通常の空気量を取り込むために余分な力を必要としているということである。たとえば肺が繊維化すれば、その膨張性を失うのは容易に想像つくと思う。

肺気腫のように、高いコンプライアンスをもつ肺では、弾性組織が酵素によって損傷されている。酵素というのは、タバコの煙のような刺激物に反応して白血球によって分泌されたものである。肺気腫患者は、弾力の弱い反動のために非常に高い肺コンプライアンスを有している。そのため患者は空気を吐き出すのが非常に難しく、肺から空気を取り出すために余分な力を必要とする。
そして最終的には、患者は空気を吸入するのも困難になる。これは、コンプライアンスが過度に上がると、肺胞の多くが崩壊し、膨張を困難にするからである。コンプライアンスの増加は加齢によっても起こりうる。