吸気性喘鳴と呼気性喘鳴

聴診器で聞かれる正常呼吸音以外の音を副雑音といい、さらに肺内から発生する音をラ(ラッセル)音と名付けられている。このラ音は吸気に聞こえるか呼気で聞こえるかで分類されており、吸気と呼気両方聞こえる副雑音を連続性ラ音(乾性ラ音)、吸気中心に聞こえる副雑音を断続性ラ音(湿性ラ音)と呼ぶ。

連続性ラ音の中で、特に吸気でよく聞こえる音を吸気性喘鳴、呼気でよく聞こえる音を呼気性喘鳴と呼ぶ。吸気性喘鳴には高音のStrider(ストライダー)、呼気性喘鳴には高音のWheeze及び低音のRhochiがある。

吸気性喘鳴

吸気性喘鳴であるStriderは、喉頭の炎症などで上部気道が狭窄しているところに、吸気でさらに胸郭内に陰圧をかけ、気道が中に引っ張られることで起きるうなるような高調な雑音である。または寝ているときに舌が落ち込む舌根沈下が想像しやすいが、寝ている最中に息を吸えば舌がより中へ引きずり込まれ、その間を空気が通った時に口笛のように音が出る。

同様の所見は、喉頭浮腫、喉頭軟化症、急性声門下喉頭炎(クループ)など上気道の狭窄をきたす疾患で見られる。

音声1:Stridor(ストライダー)

呼気性喘鳴

呼気の時は、空気を押し出すために横隔膜が上がることで胸郭が縮む。そのため気管支喘息のような細気管支レベルで気道が狭くなる下気道病変では、呼気時に余計に圧が気道にかかるため空気の通り道が余計に狭くなり、喘鳴をきたすことになる。

このような下気道狭窄で生じる音は高調の笛音Wheezeと、低音のいびき音Rhonchiに分かれる。前者は比較的末梢の気道病変に起因し、気管支喘息やCOPDがその代表である。後者は比較的中枢の気道病変で見られるため、肺癌や気管支炎、気道異物で聴取される。

音声2:Wheeze

音声3:Rhonchi(0:39から)

補足:断続性ラ音(Crackles)

上記で述べた連続性ラ音が気管・気管支の病変なのに対し、断続性ラ音は肺胞の病変で吸気の終末で聴取される。断続性ラ音は水泡音と捻髪音に分かれている。
水泡音(Coarse crackles)は分泌物の溜まった肺胞の中を空気が通過する際に、その液体膜が破裂するために生じるブツブツという低調で比較的大きな音である。水泡音が聞こえる疾患としては、肺水腫や肺炎などが代表である。一方、捻髪音(Fine crackles)は、耳元で髪の毛をひねった時に聞こえるような音で、チリチリという高調で小さな音である。間質に水が溜まった際に聞こえるため、間質性肺炎や肺線維症などが代表的である。

音声4:Coarse crackles

音声5:Fine crackles

補足2:胸膜摩擦音

胸膜摩擦音も副雑音の一種であるが、肺ではなく、胸膜で生じるためラ音とは区別されている。吸気も呼気にも聞こえ、引っかいたような高調の音が特徴で、握雪音(雪を握ったときの音)とも表現される。胸膜炎などで聴取される。

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