上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害

投稿日:2017年11月4日 更新日:

上位運動ニューロン

上位運動ニューロンは、典型的には大脳皮質または脳幹に位置し、下位運動ニューロンを活性化する皮質脊髄路ニューロンである。皮質脊髄路の約31%は前頭葉の中心前回にある一次運動野から始まり、脳幹を下行し、延髄の錐体交叉で一部交叉するニューロン(外側皮質脊髄路)と交叉しないニューロン(前皮質脊髄路)に分かれながら反対側の随意運動を調整している。

また皮質脊髄路ニューロンは一次運動野以外にも、運動野(中心前回の前に位置)と補足運動野(帯状溝上壁付近に位置)にも約29%含まれている。残りの約40%は頭頂葉や中心後回の一次体性感覚野に存在している。

一次運動野から起こる運動ニューロンの走行は、分布先の身体部位によってその起始となる部位が異なっており、遠位筋へ向かう外側皮質脊髄路、近位筋(体幹)へ向かう前皮質脊髄路に分かれる。外側皮質脊髄路が約90%、前皮質脊髄路が約10%と存在する。

また、皮質脊髄路の他にも橋や延髄にある脳神経核にシナプスするニューロンとして皮質延髄路(皮質核路)がある。皮質延髄路を走るニューロンは、大脳皮質運動野から出発し、内包膝を経て大脳脚内側部を延髄まで下行する。その経過中、ニューロンは反対側に交叉しながら目的の脳神経核にシナプスする。

上位運動ニューロンの障害による症状

上位運動ニューロン障害とは上述した皮質延髄路または皮質脊髄路の上位運動ニューロンのどこかを損傷した時に起きる運動麻痺(後述)などの症状を意味する。上位運動ニューロンには中枢の指令を末梢に伝える線維とともに、過度の筋収縮を抑制する線維も含まれているため、ここが障害されれば深部腱反射(DTR)の亢進筋トーヌスの亢進、Babinski徴候(2歳未満の乳幼児では健常でも陽性)やChaddokk徴候などの病的反射などが見られる。

動画1:膝蓋腱反射の亢進


動画2:Babinski反射

下位運動ニューロン

一方、脊髄の前角細胞で上位運動ニューロンと交代し、中枢の指令を体幹や四肢に直接働きかける脊髄運動ニューロン、脳神経運動ニューロンのことを下位運動ニューロンという。

下位運動ニューロンの障害による症状

脊髄前角細胞から先の下位運動ニューロンにおける障害が見られれば、中枢からの指令が四肢・体幹に伝搬されなくなるため、まず上位運動ニューロン障害と同様、運動麻痺(主に単麻痺)が見られる。また、反対に深部腱反射や筋トーヌスの低下(弛緩性麻痺)が見られ、筋萎縮も上位運動ニューロン障害より顕著である。さらに、線維束性収縮という筋肉がぴくぴくとひきつるような収縮も、肉眼で観察される。

動画3:舌の線維束性攣縮

上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の鑑別

上位運動ニューロン障害 下位運動ニューロン障害
深部腱反射 ↑(亢進) ↓(低下)
表在反射
病的反射 +
線維束性攣縮 +
筋萎縮 −〜+ ++
筋トーヌス ↑(痙性麻痺) ↓(弛緩性麻痺)

運動麻痺

上位運動ニューロンの障害および下位運動ニューロンの障害が起きれば、随意運動が障害され、自分の思うように力が出せず体が動かせなくなる。

単麻痺

手足のうち1カ所にある麻痺のことを示し、橈骨神経麻痺や腕神経叢麻痺などが挙げられる。下位運動ニューロンの障害が主であるが、大脳皮質の右上肢を担当する部位にのみ障害を起こすようなことがあれば、当然右上肢のみが運動麻痺を起こす。

片麻痺

片側の上下肢で見られる麻痺。原因となる障害部位は脳の大脳皮質〜脊髄まで多岐にわたるが、とくに内包のやや上方〜頸髄上部では多くの神経線維が接近して走行しており片麻痺を来しやすい。
また、脳幹の障害では交代性片麻痺という特徴的な症状を呈す。たとえば、延髄のⅨの核と皮質脊髄路を同時に障害した場合、Ⅸはすでに頭側で交叉しているので、患側でⅨ麻痺が見られるが、錐体路はこれから交叉するため反対側で麻痺が現れる。

対麻痺

四肢麻痺と異なり、両下肢のみの運動麻痺。ほとんどのケースで脊髄の横断的な障害に起因する。右下肢担当の運動ニューロンと左下肢担当のニューロンで同時に障害を受ける前脊髄動脈閉塞や、両側の腰神経叢の障害で見られることがある。

-脳神経科

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