上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の違いは?

上位運動ニューロン

上位運動ニューロンは、大脳皮質または脳幹に位置し、下位運動ニューロンを活性化しています。この経路のことを皮質脊髄路といいます。皮質脊髄路の約31%は前頭葉の中心前回にある一次運動野から始まり、脳幹を下行した後、延髄の錐体交叉で交叉する外側皮質脊髄路と交叉しない前皮質脊髄路に分かれます。交叉する前者は、反対側の随意運動を調整しているわけです

他の皮質脊髄路性のニューロンは一次運動野以外にも、運動野(中心前回の前)と補足運動野(帯状溝上壁付近)にも約29%含まれています。残りの約40%は頭頂葉や中心後回の一次体性感覚野に存在しています。

また、錐体交叉の後の外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路の割合としては、9:1くらいです。交叉せずに直進する前皮質脊髄路は、同側の脊髄前索を通って、各脊髄レベルで下位運動ニューロンとシナプスしています。

外側皮質脊髄路は主に遠位筋を、前皮質脊髄路は近位筋を支配しています。

また、皮質脊髄路の他にも橋や延髄にある脳神経核にシナプスする皮質延髄路(皮質核路)があります。皮質延髄路を走るニューロンは、大脳皮質運動野から出発し、内包膝を経て大脳脚内側部を延髄まで下行しています。その経過中、ニューロンは反対側に交叉しながら目的の脳神経核にシナプスします。

上位運動ニューロン障害による症状

上位運動ニューロン障害とは、上で説明した皮質延髄路や皮質脊髄路のニューロンのどこかを損傷した時に起きる運動麻痺の症状を意味します。上位運動ニューロンには中枢の指令を末梢に伝える線維とともに、過度の筋収縮を抑制する線維も含まれているため、ここが障害されることで、深部腱反射の亢進筋トーヌスの亢進Babinski徴候やChaddokk徴候などの病的反射などが見られます。

ちなみに、Babinski徴候は2歳未満の乳幼児であれば健常でも陽性となります。

[参考①]膝蓋腱反射の亢進

[参考②]Babinski反射

下位運動ニューロン

一方、脊髄の前角細胞で上位運動ニューロンと交代し、中枢の指令を体幹や四肢に直接働きかける脊髄運動ニューロン、脳神経運動ニューロンのことを下位運動ニューロンという。

下位運動ニューロン障害による症状

下位運動ニューロン障害とは、脊髄前角細胞から四肢へ伝わる神経の障害のことを意味します。やはり中枢からの指令が四肢・体幹に伝わらなくなるため、上位運動ニューロン障害と同様、運動麻痺(主に単麻痺)が見られます。また、深部腱反射・筋トーヌスの低下(弛緩性麻痺)が見られ、筋萎縮も上位運動ニューロン障害より顕著となります。さらに、線維束性収縮という筋肉がぴくぴくとひきつるような収縮も、肉眼で観察されます。

[動画③]舌の線維束性攣縮

まとめ:両者の鑑別ポイント

上位運動ニューロン障害 下位運動ニューロン障害
深部腱反射 ↑(亢進) ↓(低下)
表在反射
病的反射 +
線維束性攣縮 +
筋萎縮 −〜+ ++
筋トーヌス ↑(痙性麻痺) ↓(弛緩性麻痺)
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