リンパ浮腫の原因、治療

左下肢リンパ浮腫リンパ浮腫とは、何らかの原因によるリンパ管のうっ滞で、リンパ液が胸管や鎖骨上窩リンパ節に還らず、血管外の皮下組織に貯留した状態である。

これは、途上国ではフィラリアなどの寄生虫感染によって起きる場合もあるが、日本では特に癌治療の後遺症として現れる場合が最多である。症状は進行性であるが、多くの治療法により症状の改善は可能である。

リンパ浮腫の原因

リンパ浮腫は遺伝(原発性)、またはフィラリア感染や、癌の外科手術・放射線治療のリンパ管損傷(二次性)によって引き起こされる。

原発性リンパ浮腫の正確な原因はまだ分かっていないが、体内のリンパ節やチャネルの発達が欠損しているために起こるとも言われている。発症は、出生時や思春期など若年発症が主である。

二次性リンパ浮腫は婦人科系悪性腫瘍、特に乳癌手術で鎖骨下リンパ節や腋窩リンパ節郭清後などリンパ系の損傷によって起きることが非常に多い。リンパ浮腫は一旦発症すると完全な治療は難渋し、形成外科でリンパ管静脈吻合術(LVA)を受けても数年後に再発することが多い。したがって、リンパ浮腫の治療はまずは発症を予防することが重要である。医療従事者による静脈注射は、二次性リンパ浮腫の発症リスクを増加させるので、採血やカテーテルでは、癌治療を行った方の腕や脚は極力避けるべきである。

リンパ浮腫の治療

上述したように、リンパ浮腫は一度発症すると完治が困難なため、まずは手足の締め付けを避けたり、寒暑への暴露を避けたりするなどの予防を取ることが大事である。

そして、その上で発症した際は以下の要素を織り込んだ複合的理学療法(CDT)が有効とされている。

  1. 用手的リンパドレナージ(MLD)
  2. 圧迫療法(弾性スリーブ・ストッキング・弾性包帯)
  3. 運動療法
  4. スキンケアと食事療法

MLDはリンパの流れを刺激し、正常な循環回路に戻るためのマッサージである。専門のセラピストにより指導を受け、患者や家族も日常のセルフケアに取り入れていくことができるようにする。

外科治療:リンパ管静脈吻合(LVA)

LVAは、患側のリンパ管(直径0.1mm〜0.8mm)を直接近くにある小さな静脈に極細外科用縫合糸で接続するマイクロサージェリーである。

この手術は四肢のリンパ浮腫に対する効果的な治療手段となっており、術後は多くの患者が中程度からほぼ完全な寛解に至る。しかし、前述したように再発することが多いのも事実である。

なお、リンパ浮腫に対してのLVA後の長期フォローアップを含む研究では、LVAと理学的療法を併用したフォローアップの方が理学療法だけの場合と比較して顕著な改善が見られたことが示されている。

[参考] Long-Term Follow-Up After Lymphaticovenular Anastomosis for Lymphedema in the Leg

手術は最小侵襲でリンパ管の走行を確認するため、インドシアニングリーン(ICG)を用いた蛍光透視法を使いながら行う。