アシドーシスとアルカローシス

体内のH+が増加しpH<7.40の状態をアシデミア、体内のH+が減少し、pH>7.40の状態をアルカレミアという。

そして、このアシデミアを引き起こす病態をアシドーシス、アルカレミアを引き起こす病態をアルカローシスという。

アシドーシスとアルカローシス

呼吸性アシドーシス・アルカローシス

肺での低換気症候群などでCO2呼出が低下することでCO2濃度が上昇して起きるアシドーシスを呼吸性アシドーシス、反対に過換気などでCO2呼出が増加することによってCO2濃度が低下して起きるアルカローシスを呼吸性アルカローシスと呼ぶ。

以下の反応系で見ると、CO2が上昇すれば反応系は右へ移動し、H+が増加し、CO2が減少すればH+は減少することが分かる。

呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシス

代謝性アシドーシス・アルカローシス

また腎尿細管でのHCO3の再吸収が腎不全などにより低下してHCO3濃度が低下して起きるアシドーシスを代謝性アシドーシス、嘔吐などにより大量の胃酸(H+)を失って起きるアルカローシスを代謝性アルカローシスという。

通常、代謝性アシドーシスが起きれば、呼吸による代償が速やかに行われるが、この代償が追いつかない場合は血中のH+濃度がどんどん上がり、アシデミアの状態になる。

代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシス

代償反応

一次性変化 代償性変化
呼吸性アシドーシス PaCO2 [HCO3]↑
呼吸性アルカローシス PaCO2 [HCO3]↓
代謝性アシドーシス [HCO3]↓ PaCO2
代謝性アルカローシス [HCO3]↑ PaCO2

代謝と呼吸は常に一定のpHバランスを保つように、お互いにフォローし合っている。これを代償反応と呼ぶ。たとえば過換気症候群やARDSによりPaCO2が減少し、呼吸性アルカローシスを起こした場合は、酸を中和するHCO3を減少させてアルカレミアの状態を是正しようとする作用が働く。

また逆に慢性閉塞性肺疾患(COPD)などにより、CO2がうまく吐き出せず、呼吸性アシドーシスを起こしている場合は、尿細管でのHCO3を再吸収を高めて、アシドーシスを是正しようとする作用が働く。

このとき一般的にPaCO2は短時間(2〜3分)で大きく上下に変動するが、HCO3の変動には時間がかかる。したがって、pHの値に異常があり、その原因が呼吸性のアシドーシスやアルカローシスと分かった場合には、代償が起きているか否かでそれが慢性の症状か急性の症状かを区別することができる。

代謝性のアシドーシスやアルカローシスの場合も同様である。pHによって一次性変化(アシドーシスかアルカローシスか)は決まるが、延髄の化学受容体が血中のCO2をモニターしているため、代謝性アシドーシスでCO2分圧が上昇していてもCO2排出で補正することができる(糖尿病性ケトアシドーシスで見られる呼吸性の代償反応をKussmaul大呼吸と呼びましたよね)。

代謝性アシドーシスの原因は腎臓以外にもある

代謝性アシドーシスは腎臓での酸の排泄障害だけで起こるものではなく、上述した嘔吐もそうだが、他に糖尿病や循環血漿量減少性ショックなどでも起こりうる。

糖尿病では、細胞がグルコースを取り込めずエネルギー不足に陥り、その結果脂肪酸が消費されるために副産物としてケトン体が増加し、糖尿病性ケトアシーシスと呼ばれる代謝性アシドーシスを起こす。

また、外傷や脱水などにより循環血漿量が減少すると、末梢からCO2や乳酸が運び出せなくなり、また低酸素により嫌気的解糖が進行することにより乳酸が大量産生されるため乳酸アシドーシスと呼ばれる代謝性アシドーシスを引き起こす。

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