サラセミア(thalassemia)とは、ヘモグロビンの構造タンパクであるグロビン鎖の異常により、正常な赤血球が産生されず、無効造血による軽度〜重度の貧血をきたすHb異常症の一種の疾患である。
成人のヘモグロビンは本来α鎖が2つとβ鎖が2つで構成された四量体構造であるが、このいずれかの鎖がかけることで本疾患をきたす。α鎖の合成が抑制されている場合はαサラセミア、β鎖の合成が抑制されている場合はβサラセミア(最多)と呼ばれ、いずれも異常グロビンの形成により赤血球の形態に異常を起こす。
サラセミアの疫学
日本人におけるサラセミアの頻度はβサラセミアで1/1,000人、αサラセミアで1/3,500人程度であリ、九州や西日本出身者に多いとされている。もともとは地中海地方に頻発していた疾患で、地中海貧血と呼ばれていたこともあった。
サラセミアの症状
サラセミアは臨床症状により、軽症型、中等症型、重症型に分けられている。軽症のサラセミアの場合は、ほとんど無症状であるが、重症型の場合は異常な赤血球産生により無効造血となり、それらが脾臓で破壊されることで血管外溶血を起こす。そのため、重度の息切れや、皮膚蒼白、脾腫、黄疸、肝機能障害などの症状が見られる。
サラセミアの診断
サラセミアの治療
- 軽症型の場合は無治療で経過観察。
- 重症型の場合は、定期的輸血に加え、鉄過剰を防ぐための鉄キレート剤を投与。場合によっては骨髄移植を考慮