発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の症状、診断、治療

発作性夜間ヘモグロビン尿症(Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria;PNH)とは、GPIアンカーの生合成に必要なPIGA遺伝子の後天的変異により赤血球膜上のGPIアンカー型補体制御タンパクであるCD55やCD59が欠損し、補体による血管内溶血が起きる疾患である。

グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)とはオリゴ糖鎖とイノシトールリン脂質からなる糖脂質で、これに錨(アンカー)されるタンパク質には、補体系による破壊から細胞を保護するために使用されるものなどがあり、これが補体制御タンパクである。すなわち、この補体制御タンパクに何らかの異常があると、赤血球は補体の免疫溶菌現象により容易に細胞膜を破壊され溶血してしまう。

発作性夜間ヘモグロビン尿症の症状

PNHは溶血とそれに伴う褐色尿、血栓症、骨髄不全が3大症状である。

PNHでは夜間に溶血が起き、早朝第一尿で褐色のヘモグロビン・ヘモジデリン尿が見られる。夜間の睡眠中の低換気により呼吸性アシドーシスになり、補体が活性化するからである。

PNHの約40%に血栓症を合併する。深部静脈血栓症、肺塞栓、脳梗塞などは死因につながりやすく、重要な予後規定因子とされている。またヘモジデリンが腎臓に沈着することで、腎不全をきたす可能性がある。

発作性夜間ヘモグロビン尿症の診断

  • HAM試験砂糖水試験で補体を活性化させると溶血を認める。
  • フローサイトメトリー:PNH赤血球の検出と定量を行う。

発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療

3大症状による対症療法が基本である。最近は分子標的薬のエクリズマブ(ソリリス®)による顕著な慢性溶血、血栓予防効果が認められており非常に注目されている。生命予後に関わる病状である場合、造血幹細胞移植を考慮する。

  • 慢性溶血:エクリズマブ、ステロイド、洗浄赤血球輸血
  • 骨髄不全:本邦では再生不良性貧血(AA)との合併が多く、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)+シクロスポリンなどAAの治療に準じる。
  • 血栓症:急性期はヘパリン、予防的にワルファリン