子宮内膜症の病態、症状、診断、治療

投稿日:2017年11月20日 更新日:

子宮内膜症の病態、症状、診断、治療子宮内膜症(endometriosis)とは、子宮内膜が卵巣やDouglous窩、仙骨子宮靭帯など異所性に増殖して、炎症や瘢痕を起こす疾患である。

罹患者の半数が、月経を重ねるごとに強い痛みと慢性的な骨盤痛、性交痛などを自覚する。発症頻度は、生殖可能年齢の女性の10%前後と言われており、30代〜40代の比較的若年層が主である。

子宮筋層に同様の所見を認める場合は、子宮内膜症と区別されており、その場合を子宮腺筋症と呼ぶ。

子宮内膜症の疫学

子宮内膜症はエストロゲン依存性に増殖するため、25〜35歳の若年で初産婦に多いと言われている。子宮内膜症は、腸管や膀胱など骨盤内で限局した症例として見られることが多いが、肺・胸膜・横隔膜などに定着することもある。

子宮内膜症の原因

原因は詳しくは分かっていないが、子宮内膜の残骸の一部が混じった月経血が経卵管的に腹腔内へ逆流し、その際に子宮内膜組織が異所性に定着する説(子宮内膜移植説)などが提唱されている。

ただし、この説だけではすべてを説明できない場合などもあり、遺伝的または免疫的な差異などの追加因子も加味して考える必要がある。

子宮内膜症の症状

骨盤内子宮内膜症の症状としては、慢性的な骨盤痛や、月経と共に増す月経痛、性交痛、月経困難症などが挙げられる。また、骨盤外に発症する子宮内膜症では罹患臓器に特有の症状を呈し、例えば肺や胸膜などで発生すれば、血痰や気胸などを月経期以外に認めることがある。

子宮内膜症の診断

  • CA125↑↑
  • 内診:可動性に制限のある子宮を触知
  • 直腸診:Douglas窩の有痛性硬結や仙骨子宮靭帯の有痛性抵抗を触知
  • 腹腔鏡:blueberry spotなどの腹膜病変
  • 骨盤部MRI:T1WIで高信号。脂肪抑制でも変化せず
  • エコー:内部に微細エコーがびまん性に分布するチョコレート嚢胞

子宮内膜症の病態、症状、診断、治療

子宮内膜症の治療

子宮内膜症の完全治癒は難しく、再発率が高い。患者が挙児希望でない場合は手術による根治療法(子宮+両側卵巣全摘)、挙児希望である場合は、疼痛に対する対症療法か妊孕性を保つ保存的手術(腹腔鏡下摘出または焼灼)が適応となる。手術+術後のホルモン療法を行えば再発率が下がるが、挙児希望である場合、ピルを飲めば妊娠できなくなるため、まずは痛みの軽減で挙児を図ってから、出産後に根治手術を行うのがベストと考えられている。

ホルモン療法

  • 低用量ピル(エストロゲンプロゲステロン):ネガティブフィードバックにより、ゴナドトロピンが低下。子宮内膜増殖の抑制効果、排卵抑制、月経血の減少による子宮内膜の逆流防止
  • ジェノゲスト
  • ダナゾール:抗ゴナドトロピン作用により、排卵を抑制
  • GnRHアゴニスト:下垂体のGnRHレセプターの数を減少させ、ゴナドトロピンの分泌を低下させる

外科手術
最近は術後のQOLの観点から妊孕性を維持するために、基本的には子宮および少なくとも片側の付属器を温存する保存的手術が試みられる。

保存的手術には以下のものがある。

  • 子宮内膜症病巣切除術
  • 子宮内膜症病巣焼灼術
  • 癒着剥離術
  • 卵巣チョコレート嚢胞摘出術

疼痛の強い症例に対しては、さらに子宮からの痛みを伝えないようにするために仙骨前神経叢切除術を行う場合もある。

-産婦人科

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