乳児血管腫(イチゴ状血管腫)の原因、症状、診断、治療

イチゴ状血管腫は、血管内皮細胞の腫瘍性増殖を本態とする良性血管性腫瘍であり、小児軟部腫瘍の中で最多である。乳幼児早期に発生し、増殖後に自然退縮をきたす特徴をもつ。最近では、本腫瘍が必ずしも「イチゴ状」とはならないことも分かっており、「乳児血管腫」と呼称される傾向があるが、一応ここではイチゴ状血管腫と紹介しておく。

イチゴ状血管腫

イチゴ状血管腫の発生機序

詳しい病因はまだ不明であるが、胎盤由来の細胞の塞栓とする説や血管内皮細胞の増殖関連因子の遺伝子変異が原因など様々な説がある。

イチゴ状血管腫の症状と診断

イチゴ状血管腫は、局面型、腫瘤型、皮下型の3種に大別されており、特に皮下型は表在病変がなく、他の2型に対して発見が遅れる傾向がある。

これは多くの場合で、その特徴的な臨床経過と視触診から診断は可能だが、皮下型や内臓病変では超音波検査、MRI、CT、病理所見などにて診断される。イチゴ状血管腫と鑑別すべき疾患には、先天性血管腫、房状血管腫、カポジ型血管内皮腫、神経線維線腫、スタージ・ウェーバー症候群、Kasabach-Merritt症候群などが挙げられる。

イチゴ状血管腫の治療

治療は、通常は乳児期以降に自然退縮するため経過観察でよい。ただし、目や喉頭などできる場所が悪ければ、視覚障害や呼吸障害など生命機能に問題をきたす可能性があるため、その場合は早期退縮を促すための薬物療法や外科的治療がとられる。

従来、イチゴ状血管腫の治療の主流はコルチステロイドで、インターフェロンαが二次治療、ビンクリスチンが三次治療で使用されてきたが、いずれも重篤となりうる副作用を有しているため、2008年にイチゴ状血管腫に対してプロプラノロール(β遮断薬)治療効果が報告されて以来、プロプラノロールが第一選択となってきており、2016年より本邦でも保険適用となった。

プロプラノロールは、NO産生抑制による血管収縮作用により、血管腫の早期退縮を促す他、血管内皮細胞の増殖関連因子を抑制する効果があると考えられている。その他に、パルス色素レーザー、外科的切除および保存的治療(保湿、圧迫、創傷管理)、塞栓療法なども行われている。

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