大腸癌の原因、症状、診断、治療

大腸癌(結腸直腸癌)は、大腸粘膜に発生する悪性腫瘍。上皮性由来であり、大腸悪性腫瘍の大部分を占める。加齢および生活習慣病に起因することが大半であり、食事や喫煙、肥満、アルコールなどのリスク要因が挙げられる。また、潰瘍性大腸炎Crohn病などから移行して発生する場合もある。

大腸癌を遺伝的に発生させる例としては、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)や遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Lynch症候群)の患者である。FAPは常染色体優性遺伝で家族内発生し、60歳以上の罹患者はほぼ100%大腸癌に移行するため予防的大腸全摘が推奨される。

大腸癌の原因

脂肪の大量摂取、アルコール、加工肉、肥満、喫煙などの生活習慣は大腸癌のリスクとなりうることが分かっているが、実際にはこれに遺伝的要因や年齢などが複雑に絡み合い、発癌遺伝子(K-ras)の活性化や癌抑制遺伝子(APC、p53)の不活化などが起きることにより発生すると言われている。

癌の発生については、腺腫が癌化するadenoma-carcinoma sequence説と、粘膜から直接癌化するde novo pathwayの考え方が有力である。

大腸癌の症状

早期には無症状であり、進行例では肉眼で明らかな血便や腹痛が見られる。左側結腸に発生すれば、便通異常(便秘、下痢、糞柱の狭小化)、イレウスなどをきたす。また、腫瘍による狭窄がひどくなれば、腸管の内圧が上がり口側の腸管で穿孔をきたすこともある。

大腸癌の診断

早期発見のスクリーニングとしては、免疫学的便潜血反応を見るのが一般的である。2日法で1回でも陽性であれば、確定診断のために内視鏡的検査を実施し、生検を行う。

生検で腫瘍部分の組織を採取し、上皮内のどこまで浸潤しているか、リンパ節転移の有無などを見て、病期分類を行う。また、遠隔転移の有無を見るために胸部、腹部および骨盤のCTスキャン、PET-CTを撮影する。

大腸癌の場合、CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーの上昇がないかを参考程度に見る。ただし、早期には上昇しない場合が多いので、早期発見のための診断としては有用ではない。

大腸癌の肉眼的分類

TNM分類1)

病期分類2)

大腸癌の治療方針

内視鏡治療の適応

  • 粘膜内癌(Tis)、粘膜下層への軽度浸潤
  • 大きさは問わない
  • 肉眼型は問わない

Tis癌ではステージ0に分類され、内視鏡で完全に切除できれば治療終了である。粘膜下層へ1000μm異常浸潤している癌や、脈管侵襲陽性、低分化腺癌の場合はリンパ節転移が起こりうるため、リンパ節郭清を含めた外科治療を考慮しなければならない。
内視鏡的治療法には、ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がある。

進行大腸癌の治療方針

T1aを除くステージⅠ〜ステージⅢの治療の原則は外科的切除である。リンパ節郭清を伴う腸管切除、吻合を行う。ステージⅢの場合は再発を抑制し予後を改善することを目的とした術後補助化学療法の適応である。遠隔転移を伴うステージⅣ大腸癌に対しては原発巣および転移巣がそれぞれ切除可能かを検討する。ともに切除可能である場合は両者を切除し、遠隔転移巣の切除が不可能であれば、全身化学療法を行う。

術後補助化学療法の推奨されるレジメンとしては、静注5FU+LV、経口カペシタビン、FOLFOX(フォリン酸+フルオロウラシル+オキサリプラチン)、CapeOX(カペシタビン+オキサリプラチン)が挙げられ、投与期間は6ヶ月が標準的である。
また切除不能進行・再発大腸癌のRAS遺伝子に変異を認めない野生型に対しては、FOLFOXやCapeOXに加え、抗VEGF抗体薬(ベバシズマブ)や抗EGFR抗体薬(セツキシマブ、パニツムマブ)の分子標的薬を組み合わせた治療がエビデンスを得ている。

進行直腸癌に対する治療

進行直腸癌に対する治療の原則も病変の外科的切除であり、近傍臓器(膀胱、精嚢、前立腺癌)への直腸浸潤が見られれば、そちらも合併切除する。ステージⅣで遠隔転移が認められる場合でも、転移巣の切除が可能であれば原発巣と併せて手術適応となるが、切除不能と判断されれば全身化学療法が主体となる。ただし、狭窄や穿孔などの腫瘍随伴症候群が危惧されれば消化管ステントや人工肛門などの設置を検討する必要がある。

化学療法は5-FU+ロイコボリンが基本となり、これにFOLFOXやFOLFIRIを組み合わせた治療がレジメンとなっている。また、切除不能例では抗VEGF抗体薬や抗EGFR抗体薬が併用される。

スポンサード・リンク
スポンサード・リンク