非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の作用機序と効果、副作用

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセッズ)は最も繁用されている抗炎症薬で、現在50種類もの薬物が臨床使用されています。NSAIDsには酸性NSAIDと塩基性NSAIDがあり、前者はCOX阻害活性を有しており、後者はCOX阻害活性なしで抗炎症作用を発揮します(作用機序も詳しくは不明)。ここでは、臨床的に広く使われている酸性NSAID中心にその薬効や作用機序をご説明します。

酸性NSAIDの作用機序

現在臨床で繁用される酸性NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ(COX)というアラキドン酸をプロスタグランジン(PG)類へ変換される際に働く酵素を阻害し、PGの産生を抑制します。そして、PGのもつ炎症メディエーターの作用増強効果を打ち消し、抗浮腫、鎮痛、解熱などの抗炎症効果を発揮します。

最近では、COXのサブタイプであるCOX-2の存在が明らかとなり、これを選択的に阻害する新しいNSAIDが胃潰瘍などの副作用が少ないとして注目されています。

プロスタグランジン(PG)の作用
①PGE2:血管・気管支拡張、発熱、胃粘液分泌増加、子宮収縮
②PGF:子宮収縮、利尿
③PGD2:血小板凝集抑制、中枢作用
④PGI2:血管拡張、血小板凝集抑制、子宮収縮、利尿


Via:非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)|日本緩和医療学会

酸性NSAIDの効果

酸性NSAIDの種類には、サリチル酸誘導体であるアスピリン(バファリン)やインドール酢酸誘導体であるインドメタシン、プロピオン酸誘導体であるロキソプロフェン(ロキソニン)、ケトプロフェン(モーラス/ミルタックス)、ザルトプロフェン(ソレトン/ペオン)などがあります。

NSAIDは頭痛、歯痛、打撲痛、術後痛、上気道炎、痛風発作、慢性関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎などの急性期ないし慢性疾患に対し、抗炎症・鎮痛薬として使用されています。また、近年はアスピリン製剤を中心に、そのトロンボキサン(TX)A2産生抑制効果による血小板凝集抑制作用を目的として、心筋梗塞や脳梗塞、TIAなどの再血栓予防薬としても使用される機会が増えています。

また、PGの血管拡張作用を阻害することで動脈管を強制的に閉鎖することも可能とするため、動脈管開存症などの治療として、インドメタシンなどが使われています。



酸性NSAIDの副作用

胃潰瘍:COX-1により産生されるPGE2、PGI2は胃の粘膜細胞から分泌させる粘液物質の量を増やし、胃液に対しての粘膜保護作用を有するため、これを阻害するれば、防御因子による抵抗が減弱することは当然です。

腎機能障害:PGは血管拡張作用により、腎血流を保持し、水とNa再吸収を調整しています。健常人では、それほど腎機能障害は顕著に出ませんが、もともと腎機能障害のある患者には注意が必要です。

気管支喘息:気管支拡張作用のあるPGE2の産生を抑制します。アスピリン喘息は有名な話です。

出血傾向:血小板のCOX-1阻害によるトロンボキサン(TX)A2産生を抑制するからです。このため非選択的なCOX阻害薬の投与は、血友病や消化管潰瘍の患者には避けられるべきです。

妊婦/胎児に対する影響:PGFやPGI2は子宮収縮作用があるため、妊娠中に投与すると、胎児の分娩遅延が起こりえます。また、PGは胎児の動脈管を開存させる働きがあるので、妊娠末期のNSAID投与は動脈管閉塞をきたし、流産のリスクを高めます。

Reye症候群:インフルエンザ、水痘などのウイルス性疾患の小児に使用すると肝障害を伴う重篤な脳障害を引き起こす危険性があります。そのため小児の解熱にはアセトアミノフェンを用います。