強心薬の作用機序と効果、副作用

強心薬は心臓の収縮力を高める薬です。主に、心不全が適応となります。強心薬には、①ジギタリスなどの強心配糖体、②カテコールアミン類、③ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬があります。

ジギタリス

ジギタリスの作用機序

ジギタリスは心筋の細胞膜にあるNa+ポンプを阻害し、細胞内のNa+が貯留し、その結果Naをくみ出すNa+、Ca2+交換機構が刺激され、細胞外からCa2+が流入し、細胞内のCa2+濃度の上昇(Ca誘発性Ca放出)により強心効果を示します。
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ジギタリスの薬理作用

陽性変力作用
ジギタリスには心筋収縮力増強作用があります。

陰性変時作用
低用量のジギタリスは、ムスカリン受容体を刺激することで、心臓選択性の副交感神経興奮作用が認められます。これにより、心筋の興奮が抑制されるため、心房細動や心房性頻拍に有効とされています。

心筋自動能亢進作用
ジギタリスが中毒量になると、心筋細胞の静止膜電位が浅くなり、心室性不整脈が発生しやすくなります。一般的に、ジギタリスは有効血中濃度と中毒血中濃度の差(安全域)が狭い薬であるため、TDMが推奨されています。
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有効血中濃度は、ジゴキシン:0.8〜2.0ng/ml、ジギトキシン:10〜30ng/mlです。

ジギタリスの副作用

ジギタリス中毒
ジギタリスの中毒症状として、心臓症状、神経症状、消化器症状が挙げられます。一般的に、血漿カリウム濃度の低下はジギタリス中毒を起こしやすくなります。低K血症ではNa+ポンプの活性が低下し、ジギタリスの作用が強化されるからです。
この一例として、カリウム排泄型利尿薬(フロセミドやサイアザイド系利尿薬)との併用は、ジギタリス中毒を引き起こしやすくなるため併用には注意が必要です。
心臓症状として不整脈、神経症状として頭痛・めまい・視力障害、消化器症状として食欲不振・悪心・嘔吐が見られます。



カテコールアミン類

ドパミンやドブタミンなどのカテコールアミンは、β受容体に結合し、アデニル酸シクラーゼの活性化によるcAMPの産生を促し、それによって細胞外からのCa2+の流入を増加させることで強心作用を示します。

ドパミンdopamine

ドパミンはノルエピネフリンの前駆物質で、心臓のβ1受容体を直接刺激するため心収縮力増強、心拍数を増加させます。ドブタミンとの違いは、α受容体の刺激作用もあることから、腎血流量の増加および末梢血管の収縮による血圧上昇作用があります。

ドブタミンdobutamine

ドブタミンはβ1受容体を優位に刺激することで、心収縮力増強、心拍数を増加させます。血圧上昇作用が少ないため、心筋酸素消費量がわずかなので、虚血性心疾患を伴う心不全が適応となります。



ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬

ホスホジエステラーゼ(PDE)とは、cAMPをAMPに加水分解する酵素です。PDE阻害薬はこの酵素を特異的、選択的に抑制することで、cAMP分解を抑制し、心筋細胞内のCa2+濃度を上昇させ、心収縮力を増強します。また、細胞内でcAMPが増加すると、血管平滑筋が弛緩するため、血管拡張作用も持っています。
PDE阻害薬には、アムリノンamrinone、ミルリノンmilrinoneなどがあります。

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