抗てんかん薬の作用機序と効果、副作用

てんかんの成因は複雑なので、なお明確な原因が判明していないのが現状ですが、その70〜80%の患者の治療は薬物療法によりコントロールを得ることができます。しかし、20〜30%の患者には薬物療法が効かない難治性てんかんとされています。

抗てんかん薬はいずれも治療効果および副作用は血中濃度と相関するので、抗うつ薬や免疫抑制薬を投与する際のように血中濃度のモニタリング(TDM)が行われています。

治療薬物モニタリング(TDM )とは?またそれが必要な薬の種類は?

強直・間代発作、部分発作に使用される薬

フェニトインphenytoin

1938年以来使用されている最も古い抗てんかん薬です。作用メカニズムは、神経細胞のNa+チャネルをブロックして、反復性の活動電位を抑制することにより発作を抑制します。
さらに高濃度では、Ca2+チャネルもブロックし、ノルアドレナリン、セロトニンの遊離を抑制し、ドパミンの取り込みを亢進する作用もあります。
強直・間代発作、部分発作に有用な薬で、有効血漿中濃度は10〜20μg/mlです。

副作用として、初期に眼振、二重視、運動失調が起こり、長期使用により歯肉肥厚、多毛、ビタミンD代謝異常、葉酸低下による悪性貧血なども起こりえます。

フェノバルビタールphenobarbital、プリミドンprimidone

プリミドンは代謝されてフェノバルビタールとなります。フェノバルビタールは名前に「~ビタール」となるので、バルビツール酸系薬と容易に想像できるでしょう。

フェノバルビタールはGABAベンゾジアゼピン受容体複合体に結合し、GABAによるClチャネルの開口時間を延長することによりGABAの作用を増強します。また、グルタミン酸により、AMPA受容体を介する細胞興奮を抑制するシナジーも働くため、この両者の効果で抗てんかん作用を示すと考えられています。

副作用には、用量依存的に眠気、運動失調、眼振が見られます。

カルバマゼピン

こちらはフェニトインの作用メカニズムと同様と考えられていて、治療血中濃度によりNa+チャネルをブロックします。抗てんかん以外に三叉神経痛、躁病にも有効です。

重篤な副作用としては、再生不良性貧血、無顆粒球症などの血液障害が見られることがあります。



全般発作に用いられる薬

バルプロ酸valproic acid

バルプロ酸は治療濃度で直接神経細胞のK+チャネルを開口し、過分極を起こすことで抗てんかん作用を示します。また、大量に投与すれば、Na+チャネルをブロックします。
全般強直・間代性けいれん、および欠神発作に有効な薬です。また、ミオクローヌス発作や脱力発作にも効果を示します。

重篤な副作用には、肝毒性や赤芽球癆があり、2歳以下の小児で起こりやすいため注意が必要です。
バルプロ酸ナトリウムにより重症肝障害と赤芽球癆を発症した 1 例

エトスクシミドethosuximide、トリメサジンtrimethadine

エトスクシミドとトリメサジンは治療濃度で視床ニューロンにおけるCa2+チャネルをブロックし、欠神発作の抑制に関与すると考えられています。欠神発作には有効ですが、強直・間代発作はむしろ悪化させます。エトスクシミドの有効血漿中濃度は50〜100μg/ml、トリメサジンは20μg/mlです。

ベンゾジアゼピン類benzodiazepines

ほとんどのてんかんに有効なベンゾジアゼピン系薬としてジアゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパムがあります。ジアゼパムはてんかん重積症に静注で用いられる薬です。てんかん重責の場合、フェニトインが用いられることもありますが、心毒性に注意する必要もあります。クロナゼパムは長時間作用性であり、欠神発作とある種のミオクローヌス発作にも有効です。ニトラゼパムはミオクローヌス発作に用いられています。

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