消化管の穿孔と穿通

穿孔とは、潰瘍が消化管や気管支上皮の深部に及び管腔臓器に穴が開いた状態のこと、穿通とは潰瘍が壁を突破しても、隣接する臓器や大網によって被覆され、内容物が腹腔内に流出していない状態のことをいう。

穿孔では、腸管内の貯留物が腹壁内へ漏出しており、腹膜炎を併発する危険性が高く放っておくと敗血症性ショック、多臓器不全と致死的な経過をたどる(特に下部消化管穿孔)。したがって早急な診断と治療が必要となる。対して穿通では、限局的な炎症にとどまることが多く、腹膜に炎症が波及することもまれであるため腹痛も軽度である。

消化管穿孔の症状

穿孔を起こせば突然の上腹部痛や腹膜刺激症状が現れる。穿通と異なり大量出血をきたすことは稀だと言われている。逆に穿通では大量出血をきたすことがあるが、腹膜炎の併発は少ない。

穿孔を起こしていれば腸雑音低下(麻痺性イレウス)、腹膜炎の併発で筋性防御(腹部板状硬)Blumberg徴候(反跳痛)などが見られる。

消化管穿孔の診断

診断はエックス線・CTで行う。前者では右横隔膜下にfree airが確認でき、分かりにくければCTでは腹水や周辺組織の炎症性変化を見ることができる。その他、水溶性造影剤を用いた消化管造影でもこれを行える。

消化管穿孔の治療

日本消化器学会の治療ガイドライン1)によると、手術適応は①発症経過時間が長いとき(24時間以上)②腹膜炎が上腹部に限局しないとき③腹水が多量であるとき④胃内要物が大量にあるとき⑤年齢が70歳以上であるとき⑥血行動態が安定しないときは原則手術である。

上部消化管穿孔の場合は全身状態が良好で炎症が軽度と推定できれば、経食補液、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の投与など保存的治療で治る場合がほとんどである。
下部消化管穿孔の場合は、腹腔内汚染が高度となる可能性が高く、敗血症性ショックを起こせば多臓器不全で重篤な後遺症を残すため、生理食塩水による十分な洗浄と緊急手術(Hartmann手術)を行う。

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