自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性胆管炎(PBC)の違いは?

  自己免疫性肝炎(AIH) 原発性胆汁性肝硬変(PBC)
疫学 中年女性(HLA-DR4陽性 中年女性(HLA-DR8陽性
症状 多くは無症状で慢性的に経過し、肝硬変へ進展します。肝硬変に至ると黄疸や出血傾向が見られる 多くは無症候性。黄疸に先行する皮膚掻痒感や黄色腫が初発症状。門脈圧亢進症状として、脾腫や食道胃静脈瘤、腹壁静脈怒張(メデューサの頭)を来す
自己抗体 抗核抗体(90%)、抗平滑筋抗体 抗ミトコンドリア抗体(90%)
検査 γ-グロブリン、血清IgG↑
肝細胞壊死によるAST・ALT↑
血清IgM↑
胆汁うっ滞による胆道系酵素↑:ALP↑、LAP↑、γ-GTP↑、高Chol血症
治療 ステロイド ウルソデオキシコール酸(UDCA)、肝移植(ステロイド禁忌)

両者とも発症の原因は明確には不明ですが、何かしらの遺伝子素因や慢性甲状腺炎シェーグレン症候群などの自己免疫的機序が関係すると考えられています。

自己免疫性肝炎の確定診断例では免疫抑制療法(副腎皮質ステロイドの長期投与)、原発性胆汁性胆管炎はウルソデオキシコール酸(UDCA)によって、トランスアミラーゼやBilの値の改善を図ります。進行した例では、肝硬変が良い適応となります。

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、骨粗鬆症を助長するためステロイドは禁忌となっています。

原発性胆汁性胆管炎でステロイド禁忌理由

原発性胆汁性胆管炎では胆汁がうっ滞し、脂肪吸収が不良になり、脂溶性ビタミン(D、A、K、E)の吸収不全が起こります。
腎臓でビタミンDが活性されないと小腸でCa吸収不良がおきます。このとき、低カルシウムによるフィードバックでPTHが亢進し破骨細胞が活性化し骨吸収が上がるため骨粗鬆症が起きるのです。したがって、ステロイドは骨粗鬆症を助長する薬ですので禁忌とされています。

補足:HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)とは?

HLAは、多くの種に存在する主要な組織適合性複合体(MHC)のヒトバージョンです。
いわゆる白血球の血液型と呼ばれていたりしましたが、現在は白血球以外にも発現する事が分かり、ヒト白血球抗原よりもHLAと呼ばれることの方が多くなっています。

ヒトは、HL-AやHLA-B、HLA-Cとして知られている3つの主要なMHCクラスI遺伝子を有しています。これらの遺伝子から産生されたタンパク(MHC分子)は、ほとんどすべての細胞の表面に存在し、細胞表面上でウイルスや細菌などの外来ペプチドを認識し免疫系に抗原提示を行うことで、感染細胞の自己破壊を誘導します。

赤血球と異なり、このHLAは多くのバリエーションがあることも特徴で、多種多様な外来異物に対応しています。およそ100以上の疾患が、HLA遺伝子の異なる対立遺伝子と関連していると言われており、例えばHLA-B27対立遺伝子は、強直性脊椎炎の発症リスクを増加させることも分かっています。

ここで紹介した自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎もまた、このHLAの対立遺伝子が関係していると言われる疾患の好例なのです。しかしながら、HLA遺伝子がこれらの疾患を発症するリスクにおいてどのような役割を果たすのかは未だ不明なところが多いようです。

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