自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性肝硬変(PBC)

投稿日:2017年1月10日 更新日:

  自己免疫性肝炎(AIH) 原発性胆汁性肝硬変(PBC)
疫学 中年女性(HLA-DR4陽性 中年女性(HLA-DR8陽性
症状 発熱、関節痛、出血傾向、黄疸

自己免疫疾患(慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、関節リウマチなど)を合併。

自己免疫性症状
慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、関節リウマチなど

門脈圧亢進症状
脾腫、食道胃静脈瘤、腹壁静脈怒張(メデューサの頭)

自己抗体 抗核抗体、抗平滑筋抗体 抗ミトコンドリア抗体
検査 γ-グロブリン、血清IgG↑
肝細胞壊死によるAST↑、ALT↑
血清IgM↑
胆汁うっ滞による胆道系酵素↑:ALP↑、LAP↑、γ-GTP↑、高Chol血症
治療 ステロイド ウルソデオキシコール酸(UDCA)、肝移植(ステロイド禁忌)

自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変は発症の原因ははっきりとは不明ですが、両方遺伝子素因と慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群などの自己免疫機序が関係する疾患と考えられています。

治療には、自己免疫性肝炎では副腎皮質ステロイドの長期投与、原発性胆汁性肝硬変はウルソデオキシコール酸(UDCA)を第一選択薬としますが、下記の通り原発性胆汁性肝硬変は骨粗鬆症を助長するためステロイドは禁忌となっています。

原発性胆汁性肝硬変でステロイド禁忌理由

原発性胆汁性肝硬変では胆汁が鬱滞し、脂肪吸収が不良になります。それにより脂溶性ビタミン(D、A、K、E)も吸収不良となります。
腎臓でビタミンDが活性されないと小腸でCa吸収不良がおきます。つまり、低CaでフィードバックでPTHが亢進し破骨細胞が活性化し骨吸収が上がるため当疾患は骨粗鬆症が起きやすいです。ステロイドは骨粗鬆症を助長する薬ですので禁忌となります。

HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)とは

HLAは、多くの種に存在する主要な組織適合性複合体(MHC)のヒトバージョンです。
いわゆる白血球の血液型と呼ばれていたりしましたが、現在は白血球以外にも発現する事が分かり、ヒト白血球抗原よりもHLAと呼ばれることの方が多くなっています。

ヒトは、HL-AやHLA-B、HLA-Cとして知られている3つの主要なMHCクラスI遺伝子を有しています。これらの遺伝子から産生されたタンパク(MHC分子)は、ほとんどすべての細胞の表面に存在し、細胞表面上でウイルスや細菌などの外来ペプチドを認識し免疫系に抗原提示を行うことで、感染細胞の自己破壊を誘導します。

赤血球と異なり、このHLAは多くのバリエーションがあることも特徴で、多種多様な外来異物に対応しています。およそ100以上の疾患が、HLA遺伝子の異なる対立遺伝子と関連していると言われており、例えばHLA-B27対立遺伝子は、強直性脊椎炎の発症リスクを増加させることも分かっています。

ここで紹介した自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変もまた、このHLAの対立遺伝子が関係していると言われる疾患の好例なのです。しかしながら、HLA遺伝子がこれらの疾患を発症するリスクにおいてどのような役割を果たすのかは未だ不明なところが多いようです。

-消化器科

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