慢性甲状腺炎(橋本病)と亜急性甲状腺炎

  慢性甲状腺炎(橋本病) 亜急性甲状腺炎
疫学 成人女性 40~50歳の中年女性
病態 自己免疫機序による甲状腺濾胞細胞の変性・萎縮 有痛性の甲状腺炎による濾胞破壊により、甲状腺ホルモンが血中に逸脱し、一過性の甲状腺中毒症状に至る
原因 遺伝、環境素因が有力
ニキビの治療で頻用されているミノサイクリンとの関連が指摘されることも。
ウイルス感染と考えられている
症状 甲状腺機能低下症状
体重増加、うつ状態、全身の疲れ、脈拍数↓、高Chol血症、便秘、記憶力↓、不妊、毛髪の脱落などが起こりうる
動悸、息切れ、多汗、体重減少、手指振戦
検査 触診で頸部のびまん性・弾性硬を認める。
T3・T4↓(TSH↑)、CK↑、心嚢液貯留
抗サイログロブリン抗体(+)、抗ミクロゾーム抗体(+)
触診で頸部の結節性・硬・圧痛を認める。
T3・T4↑(TSH↓)、赤沈↑、CRP↑、ヨード摂取率↓↓
治療 甲状腺ホルモン(l-T4)投与 無治療でも数ヶ月以内に自然治癒
対症療法で、NSAIDs・ステロイド、頻脈や動悸に対してはβブロッカー

肝硬変や慢性腎不全と同様に甲状腺の慢性疾患である慢性甲状腺炎(橋本病)では、やはり甲状腺機能低下が起きますので、それから作り出されるT3・T4等のホルモン分泌は低下します。そして甲状腺機能低下症状(代謝↓)を起こします。それと反対に、一過性の甲状腺ホルモン過剰を起こすのが亜急性甲状腺炎というわけです。

亜急性甲状腺炎は無治療でも、おおよそ8週程度で自然に寛解します。そのためウイルス感染と考えられているのですが、未だその原因ウイルスの同定には至っていない状況です。しかし、HLA-Bw35との高い関連も知られています。また、甲状腺濾胞破壊によりヨード摂取率が著しく低下することは、ヨード需要の増えるBasedow病との鑑別に有用です。

動画:科学医療フロンティア (2)甲状腺疾患の検査と治療

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