常染色体優先遺伝と常染色体劣性遺伝

投稿日:2017年1月12日 更新日:

常染色体優性遺伝(AD)

人は両親から1個ずつ遺伝子をもらう。疾患遺伝子をA、正常をaとすると、配偶者の性別や遺伝子に問わず全世代で発症する可能性があるのが常染色体優性遺伝である。例えば下の図のように、片親が罹患者であり、もう片方が健常者であれば、子供には50%の確率で遺伝することになる。

致死的な常染色体優性遺伝性疾患は、中高年での発症ケースが多い。なぜなら成人以前に発症する病気なら、子孫を残すことが困難だからだ。ただし突然変異で発症するケースも存在する。

また、疾患の原因となる変異遺伝子を持っている人が実際にその疾患の症状を示す確率を浸透率という。例えば、浸透率が60%であれば、変異遺伝子を持った50%のうち、30%が発症し、20%は保因者となる。この浸透率は疾患によっても異なるが、たとえばHungtington病のようにtriplet repeatにより発症する疾患であれば、浸透率はほぼ100%である。triplet repeatを示す疾患には他に脊髄小脳変性症Ⅰ型や筋強直性ジストロフィーなどが挙げられる。

常染色体優性遺伝疾患:Hungtington病、筋強直性ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、家族性大腸ポリポーシス、Machado-Joseph病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、多嚢胞性嚢胞腎(成人型)など

常染色体劣性遺伝(AR)

今度は、正常をAとし、aを変異遺伝子とする疾患について考える。aとaでしか発症を示さない疾患が常染色体劣性遺伝である。つまり、常染色体劣性遺伝の場合、両親が保因者なら子供は4分の1の確率で発症する。

常染色体優性遺伝と同様、疾患の遺伝には性差はない。フェニルケトン尿症やホモシスチン尿症、Gaucher病など代謝系疾患にこの遺伝形式が多いと言われている。

常染色体劣性遺伝疾患:鎌状赤血球貧血症、フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症、Wilson病、Friedreich失調症、多嚢胞性嚢胞腎(幼児型)など

*実際にはフェニルケトン尿症などの先天性代謝異常症の多くは遺伝子異常の頻度が低いため保因者が少なく、保因者同士の間に子が生まれることは少ない。この場合、親の一方が保因者で、もう一方は突然変異で発症するケースが多いと言われている。

補足:伴性優性遺伝と伴性劣性遺伝

伴性劣性遺伝

X染色体に変異遺伝子を持ち、原則としてX染色体のスペアのない男子に発症する。女性はX染色体を2本持っているため、保因者になる。保因者の女性が健常者の男性と子供を作った場合は、その子供が男児の場合25%の確率でその疾患の罹患者となる。

伴性劣性遺伝疾患:Ducchene/Becker型筋ジストロフィー、副腎皮質ジストロフィー、Lesch-Nyhan症候群、血友病、Hunter症候群、Wiskott-Aldrich症候群、X連鎖型無γ-グロブリン血症、慢性肉芽腫症、kallmann症候群、赤緑色色覚異常

伴性優性遺伝

伴性優性遺伝によって発生する疾患は、X染色体にスペアのある女児でも発症する。なお、X染色体を1本しか持たない男児の方が症状は強く発症する。Alport症候群やレット症候群、色素失調症、ビタミンD抵抗性くる病などまれな疾患が多い。

伴性優性遺伝疾患:Alport症候群やレット症候群、色素失調症、ビタミンD抵抗性くる病

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