鋭器、鈍器、銃器による損傷の違い

損傷(injury)とは、外表や内部において、組織の連続性が機械的圧力により断たれた状態のことを言う。

類似の言葉に創傷があるが、創傷とは、「皮膚の破綻を伴う損傷(創)」と「皮膚の破綻を伴わない損傷(傷)という異なるタイプに分類可能な損傷をまとめて指すための総称である。

損傷には、大雑把に言えば、先端が尖り、刃のある鋭利を伴った鋭器による損傷(鋭器損傷)と、よく切れないが重みのある刃物である鈍体による損傷(鈍器損傷)、そして銃弾とそれに付随する火薬や燃焼ガスによる損傷(銃器損傷)の3つに分けられる。

鋭器による損傷

鋭器損傷は、刃あるいは鋭い縁や尖端を有する物体(鋭器)によって生じた損傷の総称であり、人体に圧迫された鋭利な刃が長軸方向に引かれてできる切創、先端の尖った成傷器の刺入により生ずる刺創、刃で叩くようにしながら、皮膚に刃部が打ち込まれ生じる割創に大別される。

また傘や鉄筋など、尖ってもいないし、刃もない物体でも大きな力によって刺入することがあるため、刺創に分類される。またこれらよりも太い槍や杭状のものが刺入した刺し傷のことを、杙(よく)創と呼ぶ。

鈍器による損傷

鈍器とは、よく切れないが、重みのある刃物を呼ぶ総称で、この硬い物体により殴られると、皮膚の表皮が剥がれる表皮剥離、皮下の血管が破れる皮下出血、皮内の毛細血管が破れてできる皮内出血、鈍体が強く打撲・圧迫的に作用した部分、とその周辺にかけてできる皮膚の断裂(挫創)、皮膚が過度に伸び切って裂ける(裂創)が認められる。

創洞内で結合組織や血管、神経が橋渡し上になりながら架橋状組織片をして残存している。

銃器による損傷

射創とも言う。射創は刺創の一種と考えられるが,硬い物体が高速で作用する点、銃弾だけでなく火薬の燃焼ガス等も関与し独特な影響を与えることから別個に考えられる。

銃器から弾丸が発射されるとき、弾丸だけが飛び出すのではなく。未反応の炸薬、炸薬の爆発による膨張ガス、煙が発生する。標的との射程距離が近いほど、弾丸以外の射出物による影響が現れやすいため、これらを射入口で観察することにより、発射距離を推定できる。

射創は、その性状により、遠射、近射、接射に分類される。

遠射:創口周囲に表皮剥脱(挫滅輪)が見られるが,煤暈や火薬輪、刺青暈を欠く。射撃距離の推定は不可能である。

近射:未燃焼火薬が発射後放射状に広がる射撃距離での損傷を言う。すなわち射入口周囲に煤暈の他に火薬輪や刺青暈が見られる。 刺青暈は未燃焼火薬が皮膚に貫通して生ずる赤褐色斑であり、生活反応である。

接射:銃口が皮膚に接して放たれた場合、射入口の組織欠損部周囲に黒く焦げた創縁(挫滅輪)が生ずる。これは燃焼ガスによる火傷と燃焼煤の附着によるものである。 接射と一括されているが,実際には銃口が皮膚面に強く押しつけられているか、あるいは銃口の全面が接しているか,一部かなどで創の形状は異なる。

損傷死の死因

脳や心臓、肺など重要臓器の機能廃絶

失血:一般に成人の全血液量の3分の1、1000~1500mlが失われると生命が危険になる。約2500mlを超えると死亡する。

外傷性ショック:外傷に起因して起こるショックの総称。出血性や心原性など二次性ショックを指すことが多い。

消化管出血:重症の外傷後に消化管のびらんや潰瘍ができることがある。

挫滅症候群:身体の一部が長時間挟まれるなどして圧迫され、その解放後に起こる様々な症候をいう。クラッシュ症候群とも呼ばれ、皮下組織や筋肉などの挫滅で、ミオグロビンやKが血中に大量に漏出することで、心室細動により心停止を引き起こしたり、腎不全が発症する。

塞栓症:栓子が血液中に遊離し、塊によって血管が塞がれ、血流が遮断されてしまうこと。脂肪塞栓症、空気塞栓症、組織・異物塞栓症など。

カラーイラストで分かりやすいおすすめ法医学教科書

スポンサード・リンク
スポンサード・リンク